『スマトラ島北部におけるベタ・ルブラ及びデニスヨンギの生息状況報告。またその地域のホマロメナの自生地紹介など』
ベタ・ルブラは1893年にPERUGIAによって記載されたスマトラ島北部を中心に分布するベタ(闘魚)の一種である。
その特異的な分布とアクアリウムホビーの世界に生体が届けられていなかった為、愛好家の好奇心を酷くくすぐる存在であった。
2007年に日本人アクアリウムショップの経営者の石津氏がスマトラ島北部より“ルブラ”を生きたまま持ち帰ったのを皮切りに、以後、アクアリウムホビーでも広く飼育が楽しまれる状況となった。
〇〇年、〇〇はアクアリウムホビーで流通している複数個体に基づき、複数種が含まれている可能性を示唆した。
更に2013年タンはスマトラ島北部の複数の生息地から得た“ルブラ”を精査。
頭部のメラニンパターン、体側バンド模様の本数の傾向などの形態特徴、地理的な分布まとまりを見出し、新種デニスヨンギィとして記載。同時にルブラを再定義した。
以後、アクアリウムホビーでもルブラとデニスヨンギィを区別するケースも増えたが、状態によっては両種を区別する身体的特徴が明瞭で無かったり、そもそも採集地の情報が信頼性を欠く流通事情もあって混乱が見られる状況であった。
講演者の季子氏は80年代末頃より“TEAM BORNEO”を名乗り、インドネシア各地のアナバス類や植物を調査。
自身のhp、並びに雑誌などにその様子を紹介。
学術論文にも貴重な情報を提供し、フィールドで培った分析には定評がある。
今回、スマトラ島北部のインド洋側を西向きに走破。広範囲にわたってルブラーデニスヨンギィを生息地を採集調査した。
そしてルブラーデニスヨンギィのメラニンパターンに依存した判別方法が必ずしも当てはまらない事を報告。
同定の方法の妥当性問題を提起した。
また両種の生息地の2009年と2019年との比較、ドローン撮影も交えた動画で多角的に紹介した。更に同地域のサトイモ科の植物でビサールプランツ愛好家に人気のあるホマロメナの現地での様子などを報告した。
(記/上田 哲也)
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