AquaTalkingReview version.1
- aquatalkingreview
- 2023年3月13日
- 読了時間: 1分
更新日:2023年5月13日
AquaTalkingReview version.1
2019/07.27.
in Osaka
第1回となるAquaTalkingReviewが行われました。
以下は、当時の議事録を元にした簡単な概要です。
また、登壇者の肩書については、当時のものとなります。
speaker
つるおか園芸 たっくん
『熱帯アジア地域の植物の報告』
国内外を問わず採集活動を行う。
最も好きな植物として、国内にも分布するテンナンショウの仲間を挙げる。
熱帯アジアでの採集記録を報告。
今回はベゴニアを中心に現地の生の情報を画像を交えて紹介。
・チェンマイ
雨季に芽が出る球根性のベゴニア。
日本に持ってきてもトリガーを与えずにその時期に芽が出る。
石灰岩につくベゴニア。
石灰岩に擬態していると思われ、遠くから見ると見つけがたい。
日当たりが良いと赤っぽく、暗いと青っぽくなる。
・パヤン
球根性で、葉を三枚ほど出した時点で種を作り休眠する。
・ベゴニア・フルグラータ
葉の付け根に球ができる。
茎ごと倒れ、倒れた先で次の芽が出る。
草体も美しい。
・知っているようで知らないベゴニアの事
ベゴニアは石灰岩付近によく生えている。
他の強い植物が競合し難い為?
ボルネオ・サラワク サバ州へはあるテンナンショウを探しに。
蘭の仲間であるクールハッセルティアは一時期ブームとなり国内にそれなりの数が来たはずだが増殖株の姿を見ない。おそらく消えた?
こちらも蘭の仲間であるコリバスは土にも生えているのを発見できた。
ネペンテスは結構いろいろ見かけることが出来た。
speaker
大阪市立大学特任助教 佐藤駿氏
『魚の「心」の話』
ディスカスに魅せられ、いち熱帯魚オタクとして魚類研究者となった佐藤先生による研究の報告。
激励
手段(魚)のために目的(研究)は選ばない。
一般アクアリストこそ、研究しても良い。
水槽実験は
1.コツさえ覚えれば誰でもできる
2.趣味としてできる
3.一緒にできる
性役割の逆転について示唆
魚は雄個体が美しい物が多いためS.バイランティのような雌が美しいものは珍しい。 アクアリウム業界に流通後、学者ではなく一般飼育者が発見したと言われている。
稚魚への粘膜給餌を行う魚種として2つの魚を対象的に報告
南米大陸原産シクリッド
ディスカス は必ず行わなければ稚魚は育たない。
「義務的」粘膜給餌種
アフリカ大陸原産シクリッド
ペリソダス 必ず行わなくても稚魚は育つ。
「義務的」粘膜給餌種
『魚の「心」の話』
人の授乳行動は ・愛情 ・共感性 ・認知能力 とされる。
しかし、ディスカス(魚)だと ・刺激的反応 と括られる。
生物として人から離れるほどに無い、という思い込み。
鳥が魚に餌を与えたり、チンパンジーがダウン症の子を育てたりしても大多数の学者はあくまでも「刺激的反応」とする。
ヒトの利他性を優位的に考えている。
対してコンビクトシクリッドの向社会性を測る実験。
ペアの絆が強いとされる魚だが、このペアを分断し、条件のもと餌を与える。
お互いが見える水槽で、雄に対し、水槽内に2つエリアを設置し決めた片側で餌を取れば雌にも餌を(向社会的選択)・そうでない側で餌を取れば与えない(非向社会的選択)という実験を繰り返すと回を重ねるごとに雌に対して利他的な選択を取る割合が多くなっていった。
利他性は認められるのでは?
ネオランプロローグス・フルシファー タンガニィカ湖固有種。 平たい場所に産卵。 雌が子を守り、子育てには90日ほどかけるが最終的に100匹ほどから3匹ほどにまで減る。 稚魚の模様は生息する巻き貝(R.horei)に非常に似る。擬態? 食性はエビ食であり、幼魚同士で餌をめぐり争う。 兄弟個体は雌親の縄張り内で縄張りを持つが重複はしない。 意図的に縄張りに藻を維持する。 藻園を作るメリット エビ及び貝の誘引 エビは夜間プランクトンのように泳ぎ回るが夜間は藻に定位する。 貝は餌となる藻を求めてやってくる。
speaker
TEAM BORNEO代表 季子宏之氏
『実際の現地の話』
議事録を取っている際、実際のご用意いただいたタイトルを取りこぼしており申し訳ありません。
TEAM BORNEO代表 熱帯採集家 季子宏之氏
熱帯アジアで主に採集を行う。
現在の主な拠点はインドネシア。
植物イベントなどにも多く出展。
扱う質の高さでも広く知られています。
自身が立ち上げられたサンガウプロジェクトにまつわるお話。
インドネシアの西カリマンタン州にあるカプアス水系サンガウ地域。
永く、熱帯アジアの多くの地域を訪れ植物や魚の採集をなされているが、上記の地域を過去に訪れた際(1998年)から近年(2017年)で大きく様変わりしてしまい危機感を持ったとのこと。
様変わりをした地域はサンガウだけではないが、いくつかの要素が重なり、土地購入による保護を決意。
このエリアに生息する原種ベタであるベタ・アントニーは非常に強い遡上性を持ち、生息域が最上流から下流へ約100m程と非常に限られる。
その為、土地の購入が現実的な範囲で済むということで決断に至ったそう。
実際の現地を知らない熱帯魚愛好家がワイルドベタに抱いてしまいがちな「低pHでブラックウォーターの水溜まりに生息する」というイメージに反することに驚かされました。
本種が本来生息するこの細流は、川底は砂礫で流れがありpHも6.0程の弱酸性とのこと。
現在では村人による木の伐採によって日照の変化に伴う水量減、水流の変化による泥の蓄積などの問題があるためそれらを解消する必要がある。
活動の一つでエリア内下流域に自生する植物クリプトコリネ・ストリオラータを早期に購入出来た土地の上流域へ移植。
本来日陰に生えるが日の当たる場所に移植した影響で葉が元の草体よりも赤く揚がってしまったが順調に生育していて種子で増えて来ているそう。
・上流域北側(購入済み) 切り拓かれた土地。
放置にて植物などの環境は回復傾向にある。
・上流域南側(購入済み) ゴム林となっている土地。 原生内でのゴムの木の植え付け
・利用を認めることで、原生の植物を伐採しないように交渉取り付けた。
元の環境の合間に植樹しているため多様性は残される。
・下流域西側の地域(未購入) 木の伐採の代わりに高級果樹を植樹して補うということで交渉予定。
Q. その地域でベタ・アントニーはどういったサイズのものが採取できるのでしょうか?
A. その場所では成魚から幼魚に至るまでの個体が採れるので時期的に遡上しているというものではなく、その場所に限って生息していると言える。
日本の国土の約2倍のボルネオ。
中央カリマンタン・バリト水系で2018年に行った採取経験からのお話。
バリト川中流にて、ベタ・フォーシィ及びベタ・ヘンドラの採取。
フォーシィはこの採取でパランカラヤまでとされていた分布記録が更に東へと進んだ。
ユニマクラータ種の西限と同水系で存在することが判明した。
ベタ・フォーシィは水溜まりに生息し、本流で採取できたことはない。
pHは4程と低め。
水溜まりで水量は少ないが、日陰であるため水温は高くない。
ベタ・コンプクタにまつわる話もご準備されていたそうだが残念ながら準備の関係で今回はご紹介できなかった。
上記の内容についてはご自身のブログで改めてご紹介(外部リンク)くださっています。
speaker
大竹 哲夫氏
『コーラルフィッシュの色彩分化を紐とくと…』
海水魚のハイブリッド。
チョウチョウウオの44/130種で交雑を確認。
クリスマス-ココスハイブリッドゾーン。
上記の海域で多数ハイブリッド個体が発見される。
ミズチョウチョウウオ F1以降の個体も見つかっている。
別種であるかは諸説あるがミトコンドリアDNAもしくは核DNAの差異みよって認められる。(2%を目安とするが0.1%で記載が認められることも)
F1×純粋な個体は、どちらかに寄る。
同域の他種よりも同種別エリアの個体の方がミトコンドリアDNAの差異が大きく出た。
仮説:深場は餌が限られるので同じ場所に居着き交雑しやすい?
ハイブリッド魚の模様はチューリングの法則による。
(イワナ×ヤマメの交雑であるカワサバを例に挙げる)
古い記載の魚は、後から結局の所、同種であったり別種であるとわかることも多い。
海水魚は性転換が多い。
そういった魚種は、飼育下で雄同士で殺し合うが、セパレートをしておくと片方が雌に戻る。
クマノミは群れの中で1番大きな個体が雌に変わるが雌同士にしても雄に戻らない。
他にも
背景とメラニン
東邦大学 大島範子名誉教授。
光感受性、魚により異なるがティラピアを一定の色の波長で赤く変化させられると発見。
それらの事からホビーとして活かせるのでは?という知識をいくらかご紹介くださいました。
以上、登壇者、参加者の皆様。ありがとうございました。
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